東北アジアの市民交流を進める歴史と教育のマダン

フランスから韓国に返還された『外奎章閣儀軌』

フランスから韓国に返還された『外奎章閣儀軌』

 韓国併合から100年を迎えて、2011年末に日本政府から韓国に返還された『朝鮮王朝儀軌』。それに先立って返還されたのが、フランス政府から返還された<豊呈都監儀軌>など71点の外奎章閣儀軌、<江華府宮殿図>などの関連文化財およそ165点だ。2011年夏に、中央博物館で外奎章閣儀軌の内容やその歴史的重要性にスポットをあてた特別展が開催され、話題を集めた。
 朝鮮王室の祭礼、王室の行動様式を記録した儀軌は、朝鮮王朝(1392~1910)を通して製作が続けられ、「東方礼儀之国」の伝統を重んじる儒教文化の特徴をよく表し、2007年にはユネスコから「世界記録遺産」の指定受け、歴史記録物として世界的に高い評価を受けた。
 フランスから返還された外奎章閣儀軌の多くが、国王が閲覧するために製作された「御覧用」であり、今後の儀軌の研究や時代考証での活用などとても重要な歴史料だ。
  1800年代末からの東北アジアの混乱期に散逸した朝鮮半島の歴史資料の返還に関心が高まっている。日本国内にも貴重な朝鮮半島の一級資料が残る。それは専門家による正当な評価を受けないまま、個人所有となっていて、風雨にさらされ破損が進むものもある。風化が進まないよう保存が行い、歴史的価値に再照明していくことが求められる。文化財返還は急がれるべきだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です